8/6 ~広島平和記念日~

小さなお話

1945年8月6日8時15分 広島へ原爆が投下されました。
その瞬間から80年が過ぎ、当事者は減り、過去の記憶へと移る中、
私達は何を感じ、学び、励むべきなのか。

平和式典の挨拶では、
御霊への追悼を捧げ、核兵器の悲惨さを伝え、武力化が進む世界へ核廃絶を訴える中、
広島市長が仰られておりました。

「他者を重視する考え方が大切」
これを仏教では【利行】と言います。
各々が自己の利に執着していると必ず衝突が生まれる。
他者へ思いやりを持ち、利する行いをしなければなりません。
【愚人謂わくは 利他を先とせば自らが利省かれぬべしと 爾には非ざるなり 利行は一法なり 普ねく自他を利するなり】(お経の一説)
愚かな人は他人に利益を与えると、自分の利益が失われると思いがちだが、
決してそうではなく、人助けは自他隔てなく皆に利益を与えるのだ。。という意味の文言です。
この真理は、生産性や効率化ばかりに目が眩み、自分ばかりを見ている現代人にとって、非常に大事なものとなります。

「日々の生活の中で出来る事を見つける」
時は流れ、遠い過去の出来事と感じる人も増えているでしょう。
今も続く世界の戦争は、対岸の火事に捉える人も多いでしょう。
しかし常に我が事として、被爆者の想いを感じ、語り続けなければなりません。
自分の出来る事を見つけ実践する事が、大きく確かな第一歩なのです。

広島市長は、上記2つの言葉の先に恒久的な平和があると仰られます。

人は己の為にはコツコツと地道な努力を重ねることが出来ます。
なぜなら、いつの日か大きな利益へ成りうると分かっているから。
一方で社会・環境・他者の為となると、遠くて無駄な行いと考えてしまいます。
しかし自己の研鑚と同じで、一人一人の小さな行いの積み重ねは確かなものなのです。
知る・学ぶ・想いを馳せる・語り続ける・感謝して節水、節電、節食、
他者の為に、社会の為に、自分の為に、誰にでも日頃から出来る事は必ずあります。
その一つ一つが社会を大きく変え、世界を平和にし、人類が一日でも長く暮らせる地球へと繋がるのです。

比較的平和な時代に生まれている私を含めた若い人は特に、
自分達の当たり前の日々が如何に脆弱なものか、己の危機感の欠如を自覚しなければなりません。

広島原爆に関わる全ての御霊、そして万国戦死病没殉難者諸精霊の
ご冥福を祈念申し上げます。

合掌