~お彼岸~

小さなお話

元々彼岸とは、三途の川を挟んだ向こう岸の事を言い、
苦しみから放たれた悟りの世界の事を表します。
対するこちら側の世界を
『此岸』といい、我々が暮らす迷いの世界です。
欲に塗れ、痛み嫉み辛みに踠き苦しみます。
そして一時の快楽や幸福を得ても、痛み止めの様に後に苦悩を齎します。

三途の川は『貪・瞋・痴』という私達を苦しめる三つの毒を表します。

・貪(貪り、欲望、執着)
・瞋(怒り、苛立ち)
・痴(愚か、無知)

この三毒を乗り越える為に必要な真理が、
『六波羅蜜』といい、六文銭で表されます。

・布施(貪らない心、見返りを求めない慈愛)
・持戒(ルールを守る正しい生活)
・忍辱(耐え忍ぶこと)
・精進(精一杯努める)
・禅定(自身を見つめ穏やかに)
・智慧(この世の真理、本質を見極める)

六波羅蜜をはじめ、此岸の仕組み『因果』『無常』などの真理を理解し修養することが大切とされています。

花は突如咲くわけではありません。
風に乗り種子が撒かれ(原因)、
お日様を浴びて雨を頂き(ご縁)
花開く(結果)わけでございます。
そして時が過ぎれば枯れていく(無常)

この道理を理解し、そんな此岸にいる我々が
自分の行いを振り返り、見つめ直し彼岸へ歩み始める事こそ〜お彼岸〜に込められた大切な意味合いでございます。
ご先祖様にお手を合わせるとともに、今一度心安らかに精進して頂きたいと存じます。

合掌